レス続き

ところが、これが実は弱点がある。至高のエロエロシーンに到達するために、有夏ちゃんをあからさまに犠牲にしてるわけです。僕の言うところの「女を切り捨てて自分だけ高みに上り詰めて喜んでるイーガンの短編の主人公はファックオフ!」なことをやってしまっている。だけど、有夏の存在は恭生と貴理の二人の視点のザッピングで進行し、恭生の顔が露出しまくる、僕の言うところの「ゲームとしての主人公でなくなりつつある男性主人公」が出てくるゲームでなくなりつつあるノベル形態においては必須の存在で、というのはプレイヤーに代わる欲望の代弁者なんです。有夏がいないとエロゲーにならない。だから、一方のルートでは恭生と結ばれ、一方のルートでは貴理と結ばれ、二人の間の障害であると同時に欲望のトリガー役であることを求められる。そして、性欲の代弁者である有夏を拒絶することで、レイプ未遂の罪を清算するという計算式が成立するわけです。そうしてようやく、がっつくプレイヤーを差し置いた二人のせっくすせっくすせっくす〜らぶらぶラブシーンに移行することが可能になる。
ところが、二人して別世界(ほとんどマヨイガ)に旅立ってしまった恭生と貴理はともかくとして、取り残された面子の問題がある。特に有夏。そこで冬子さん裏ルートというすっげー捩れたシナリオが登場する余地が生じてしまいます。
PC版の冬子裏ルートは、はっきり言って蛇足の面が強いと感じます。冬子が裏で暗躍したせいで貴理と恭生のカップルが成立しなかったかのように、やらんでもいいことばっかりやってる。表ルートと合わせるために無理やり時間を潰している印象すらある。そこまでして何をやるかっつーと、二人にとってはもういらない宝物を見つける。二人は連れ立って別世界に行っちゃう人たちだから、宝物はいらない。「私は汚れています」て言っちゃう人が、エロエロまみれの人が、欲望の代弁者の人が(冬子裏ルートでは有夏をたきつけるのは冬子)、失われてしまった宝物を見つけて、それがもう手に入らないことを確認して、終わる。そうやって、次に冬子裏シナリオで冬子の一部始終を見ていた英輝が、冬子の姿をダブらせるようにして有夏を発見して、彼らの世代の物語はようやく終わりを告げて、にも関わらず、英輝と有夏の二人が抱き合うその時に、次の世代である恵と和典が「宝物」を埋めている。ループて奴になっちゃう。