レス続き2

取り残されちゃうんです、結局。ここまで延々とやった挙句に。
それって何でだろうと考えると、設定と、貴理と恭生がラブラブハッピーエンドになることの、なんかもう、どうしようもない矛盾から生じたこととしか思えないのですね。
貴理は、「ダム建設で沈む村」という事件の象徴的な存在であることは言うまでもないわけですが、彼女という事件を、外側から来た男の子が救済してしまう。彼女はダムじゃない、一人の女の子だ。それはそのとおりなんです。だけど、その結果として「ダムに沈む村の象徴的存在」を失った物語は迷走を始める。本来ならば、貴理という少女を弔うことで終わるはずだった物語が、貴理を失ったことで終わらなくなる。ダムに沈む村は弔われることなく、狭間の領域で無限にループする亡霊となってしまう。村の住人たちは無限にループする村の幻の中に閉じ込められて、出ることかなわず連れ戻されてしまう。
SM版をプレイしていると、SM版そのものが、そうした出ることかなわぬ亡霊のような存在に思えたのですね。叶えられぬ願いを成就するために、賽の河原の石積みのようにシナリオの上書きを重ねつづけていくような。

そもそも私には、貴理との別れは、最初の設定において避けられないことのように思えました。それを予感したから貴理を避けて別バージョンの別ヒロインに逃げたりしたのですけれど。それで、後でその予想が外れたときは「エロで誤魔化せるエロゲーって、なんて素晴らしいんだ」と思いました。
SM版で、レイプ未遂の代わりに無理やりキスに差し替えられた貴理のシナリオは、何だかとっても夢見心地でした。ウエディングドレスに包まれた貴理は可愛らしいことこの上なくて、ダムに沈む村という設定は、ほとんど意味を失ってしまったように思えます。このまま、ダムだの校庭の宝物だの余計な設定は霞みと消え去ってしまって、フワフワラブラブなだけの甘ったるいだけの話になってくれればいいのですが。
なんとなく、そういう展開は許されないのではないかという不安がよぎるのです。

どうか、杞憂にすぎないと確認できますように!