デビルマン

ちゃんと映画館で見た。普通だと思った。どノーマルな原作ファンが何も知らずに見に行って「全然違う!」と言って怒るのは理解可能だけど、それ以上に大騒ぎするほどのものでもあるまい。ダサいCGや大根な演技は見慣れてるし。
 
 
 
以下ネタバレ。
 
 
 
 
 
 
 
基本ラインはBLもしくはやおい的な原作解釈で、さらに不動明をイマドキのヒッキーにカスタマイズ。簡単に言えば、不動明新世紀エヴァンゲリオン碇シンジに、飛鳥了渚カヲルにしました、といったところ。そう思えば、

ハッピーバースデー、デビルマン
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ハッピーバースデー、シンジくん(はぁと)

ホラ全然違和感ないし。エヴァだと思えば、引きこもって全く戦わないデビルマンも納得いくでしょ。
牧村家の描写に関しても同様。BLなんで、牧村美樹は「全てを敵に回してでも守る最愛の人」じゃない。美樹は美樹個人というよりも、牧村家っつー家族の一員となるためのアイテムに近い扱いで、明は美樹よりも牧村パパのほうに目が行く。よって主に牧村パパとラブシーンを繰り広げ、パパの父性愛に感動する。
ということで、美樹の首を暴徒が振り回してる原作ファン待望のシーンは成立しない。まずデビルマンはヒッキーなので最初から人間世界に絶望してるし、その場の人間皆殺しなんて真似もできない。「やだよ戦いたくないよ」となるのがオチ。牧村家三人の死体が居間に集められてたのも、美樹を失うより牧村パパおよび牧村家という家族を失うほうがショックが大きいから。
戦えないオトコノコになっちまった現代のデビルマンを描きたかったとすりゃ、とりたてて酷い脚本でもない。

原作が好きな人、映画が好きな人が何も知らずに見に行って文句を言うのは仕方ないし当たり前として、噂を聞きつけて見に行ってやっぱり酷かったと叩き祭りに参加するってーのは、牧村家を襲う悪魔狩りの暴徒の姿と思いっきり被って見える。
あの盛大なバッシング騒動が見る映画としてではなく、参加する映画として原作の悪魔狩りの光景を再現させたのだとすれば、これは一大傑作と言えるのではないだろうか。