グレッグ・イーガン「しあわせの理由」

さすがに「祈りの海」「順列都市」あたりを読んだ後ともなると手法にも慣れて心構えみたいなのが出来てくる。
で、その心構えにスポッと入るのでめっさ普通に読めた。変なもの思いつくのが仕事なだけあって変なものには事欠かないんだけど、その「変さ」を一生懸命に解説しちゃうのでどうにも面白くないわけさ。んで、本人はその「面白くなさ」にこそ力を入れているわけで…。
よーするに言いたいことやりたいことが理念に率直過ぎて判り易すぎて面白くなーい。先が読めるとまでは言わないけどいいかげんワンパターンだよ。省略しろよそこんとこ。変なアイテムだけパッパと出せよ。

そんなわけで各短編とも同じような印象しか受けないわけだけども、サクッと。

  • 適切な愛

保険会社ってどんなネタでも説得力持たせられていいよな! とか。このネタは適度にグロっぽくて好きなほう。

  • 闇の中へ

変ナンバーワン。よって一番好き。

  • 愛撫

教条主義的な、と思わず呟きそうになった。ジョークとして。

  • 道徳的ウイルス学者

あほかい。

  • 移相夢

あほかい。

雑だけどまあまあ。

  • ボーダー・ガード

なるほどドリーマーだなぁと。

  • 血をわけた姉妹

いいかげん飽きてきた。

  • しあわせの理由

大団円。

総じて、「SFとはハッピーエンドに殉じる小説のこと」というのがよくわかる、SFをめぐるアジテーション文集。よって文庫タイトルは「しあわせの理由」となるわけさ。