史上最高落札価格を叩き出した絵画をネタにしたドキュメンタリー映画。
正直、映画内はけっこう説明不足であり(というか映画字幕では情報量が足りなすぎる)、事前に予習するか後から復習するかしないと理解が追いつかないと思う。
ネタバレなしで展開を楽しみたい人は後から情報収集するしかないが、ネタバレを気にしない人は事前に予習したほうが登場してくる人たち(当然全員が実在の人たち)のキャラクターの濃さを楽しめると思う。「盛りすぎてリアリティがないって編集に却下される」レベルの今の時代のホンモノが山ほど出てくるので。
なお、先に書いとくと、BGMがチープだったり差し挟まれる場面説明の絵が安っぽかったりで、ドキュメンタリーといえど映画としてはだいぶイマイチ感が強い。
以下、事前予習用。
公式サイトリンク。
自分は下の動画で映画を知った。
映画のあらすじ(つまり現実の経緯なわけだけど)を全部ネタバレくらってもいい人は、次の動画で全部説明してくれてる。
動画めんどくさい人は以下。
で。
とにかくキャラが濃い。
全世界が舞台で様々な国の人が登場するのだが、その人たちが今どきフィクションだと「こんなテンプレな造形はポリコレに反する」って批判されそうなぐらい「お国柄」のテンプレイメージをなぞってる。
ロシアの新興財閥大富豪、新興財閥をカモってぬけぬけと語りに語るヨーロッパ画商、一山あてようと気張りつつも程よく値切られるアメリカ人画商、クリスティーズ元代表のおばさんの役者感、プレゼンテーションで成功を収めたはずが後からミソをつけた格好になるイギリスナショナルギャラリーの学芸員、それすら素朴に見えるアメリカのオークショニアのメディア総動員戦略、オチとしてありきたりすぎだろとツッコミ入れたくなる最終落札者のサウジ皇太子、つまんなくなりそうなオチをひっくり返しにかかるフランスのアート界の魑魅魍魎軍団、フランス国立美術館連合代表という何それって肩書をひっさげてこれまた語りに語る「傭兵」(そう字幕で紹介される)に、オペラ座の怪人というかアノニマスかよってな仮面を被って内幕を語る「フランス政府高官」。
そんで、ひたすらピエロを演じさせられた格好になった美術史家。
並べてて思ったが、ドキュメンタリーじゃないだろこれ。演出過剰すぎると思う。
ギャラリーフェイク全30数巻の、一番おいしいキャラたちをかき集めて一つの話にギュウギュウに煮詰めたかのようなフィクションのキャラにしか見えないレベルに濃い人たちの、キマリにキマッタ絵面ばっかで押しまくる映画。
その結果、話の中心となってる「サルバトール・ムンディ」の絵の印象の薄さが際立ってしまっていて、いわずとも全然レオナルドの絵じゃねえな、っていう。最後、スタッフロールで流れるパロディ絵画もたいがいインパクト薄いなーとなりました。