デートすっぽかし

 寧々さんとつきあいはじめる。二股ってきつい。そして寧々さんとは、こっちの気分がちっとも盛り上がらない。お互いの性格が噛み合わない気がする。

 で、昼の約束をすっぽかしてしまう。あわててラブプラスモードで音声フォロー。

と「あの…」
ね「どうしたの?」
と「デートいけなくて…」
ね「ふぅん、そうなの?」
と「あの、ごめ…」
ね「ともちゃん、こっちむいて? ふふっ」
と「えっと…」
ね「なにか、聞きたいことない?」
と「怒ってない?」
ね「さあ、どうでしょう?」
と「……」
ね「黙っちゃった」
と「ごめんね」
ね「もう、誤魔化してる」

 基本的に、DSの音声認識なんてのは限度があるものなので、スムーズなコミュニケーションを再現するよりも、こちらの言ってる内容をにこやかにスルーしてくれるディスコミュニケーションを再現するほうが、はるかに自然にきこえてしまう。

 そんなわけで、寧々さんの笑顔が、皆口ボイスの淡々とした語りが、とても怖い。お詫びのつもりで来週すぐ予約を入れなおし、どうにか機嫌を直してもらうことに。