エロゲの台詞の話の続き

 「〜りゅん」などのヒロインの口癖を突き詰めてくと方言という形が見えてくる。「〜だっちゃ」があまりにも有名だが、方言はつまり外国語だ。ヒロインが発言しながら発言内容について自分では判っていないというのは、つまりそれが日本語であると意識していないで日本語を喋っているというのと同じことを指す。日本語であるということ、ある意味を伝達するのにあたっての文法や語彙といった媒体そのものであることが、かつてギャルゲーで発展していったゲームシナリオのヒロインの台詞だ。

 過去において方言はキャラクターの修飾とみなされた。しかしこの方言とキャラクターを結びつける手法はキャラクターがその方言の息づく土地から切り離されていることを前提とする。全員が関西弁を使っていてはキャラクターの特徴付けとしては意味が無い。登場全キャラ関西弁や関西弁と東京弁の切り替え機能付きといったエロゲーでは、それらは当然ながらキャラクターではなく作品のほうに関わってくる。

 12都市の12少女は基本的に方言に依存しなかった。ヒロインは基本的には他の都市へ出かけない。土地を離れるときは主人公に振られるときだ。(七瀬は電車に乗ってるが、彼女は無口キャラ寄りであることに注意。あと桃鉄パクリゲーの話は禁止)
 ノベル形式に移行した段階で振ったり振られたりのコミュニケーションゲームが終わり、「田舎ゲー」に見て取れるようにヒロインの言語の限界が世界の限界を端的に示すようになる。ヒロインの台詞は媒体で、つまり「メッセージはメディアである」ということなのだけれども、眠くなってきたので続きはそのうち。