そらのむこう

 交差しない感覚というのが前提にあって。夜が明けて、最初、町を眺めてるんですよ。そして町から次第に離れていく。町を眺めてるとき、町と僕は重なっていない。異なる層にいて近くから眺めているのに互いに触れられないようなとこにいるわけ。そうして町から次第に遠く離れていくと触れられないものが触れられるようになって、無限遠で町のある地平にたどり着く。

 でも、その無限遠にいるとき、もう近くで眺めていた町のことは忘れてる。その意味ではどうにも重なりようがないし、遠い果て、距離を隔てたところと繋がっているとは言えない。

 それを空の向こう、空の果てと名づけて引き寄せた人がいる、という話。

///

「………」の読み方。
 エロゲのシナリオでは『君が望む永遠』あたりから「……」にいろいろと声優による「演技」を詰め込んでいくのだが、それ以前のゲームシナリオの「……」はタメていく間そのものだったはずで、ため息や舌打ちの音が聞こえる領域ではなかった。

 例えば連載漫画の、次の号が発売するまでの1週間なり1ヶ月はタメとして機能する。そのタメる間については、どのようにも記述できない。「……」は、そうした領域に近しい表現で。

 そーゆー間を映画の形で作ろうとするなら、画面の外に追い出していくしかないのだが、それをやってない。