『さくらむすび』より抜粋。

http://d.hatena.ne.jp/Su-37/20050904#1125823807
への反応として。
原文参照がなされてないと感じたので、一応、抜書きしたのを置いときます。日付は初日からカウント、タイトルはセーブデータのタイトル。
6日目<昨日の話>より。

「なら、来年はキミ一人残るといい」
「…おーおー、来るなりそれかよ。ま、おまえにはそーいうの期待してないからな。せいぜい可愛いナースでも捕まえてよろしくやってくれ」
「確かに、医師と看護婦、というパターンは多いみたいだけどね。うちの両親もそうみたいだし」
「おー、職場結婚っていうやつだね。瀬良くんもいずれそうなるかもしれないんだ。なんか楽しみ。彼女できたらちゃんと紹介してよー」
「できたら、ね」

ちなみに話の流れは、可憐と原崎マートに買い物に来た圭吾をからかっている龍馬の声を聞きつけて突然に現れる邦彦、といったシチュエーション。邦彦の発言は流れからして自然なもので、少なくとも、その場の思いつきの嘘などではない。
ただし、邦彦は、それなりに物心ついた年齢になってから引きとられた養子であり、瀬良家の光博と夫人、可憐の関係を完全に把握してはいない可能性は高い。
次。
10〜13日目(ルートにより変化)。<初代の桜結び>より。

「考えても、たぶん無駄だわ。知らないはずよ。ずいぶん前の大掃除の時…見かけて、それで。まさかこういう形で接点が出るとも思わなかったし、思い出すのに少し時間がかかったけど」
「そう、か」
「あー。そっか、邦ちゃんちは、二人とも桜丘のOBって話を聞いたことがあるな」
「…そういうことです。当時の思い出があるんでしょうね。だからこそ、両親は私たちがここに通うことを良しとしています」
 
そういうことか。
邦彦に目をやると、軽くうなずき返した。
成績優秀のこの二人が桜丘に通っているのは、友情に依るところばかりではなく、そういった背景も手伝ってのものだったわけだ。
 
「えーと…。つまり、瀬良先生か、おばさまが演劇部だったの?」
「少なくとも父は。先日、秋野先輩のお宅に伺った時に思い出しまして…勝手に拝借してきたんです。だから詳しくは聞いていません。というよりも、初めてこれを見つけた時の父の反応を考えると、聞けません。怒られて没収ということになりそうで。ですから、まず見ていただこうかと」
 
「つまり、邦彦のお父さんが作ったものを、僕らにバトンタッチっていうわけ?」
「話を信じるなら、そうなる。なんの因果だどうね、まったく…」
 
邦彦は――なんだろう、困ったような顔をしていた。
ちらちらと送る視線の先には可憐ちゃん。その可憐ちゃんも、どこか居心地が悪そうな顔をしていた。
なんなんだろう?
 
「…静さんと菊代さんも桜丘だっけ?」
「そうだよ」
「年代が違うのか」
「20年以上前って言ってたかな…?」
 
なるほど、少なくともこの台本の時期には卒業済みというわけだ。
 
――?
 
なんだろう、何かが引っかかるような…

「邦ちゃんちは、二人とも桜丘のOB」の発言は、嘘をつく必要がない竜馬によるものなので、おそらく正しい情報。
なお、この「何かが引っかかる」は、おそらくは邦彦の年齢と台本の年代の食い違いを、紅葉の年齢との比較で気づきかけているのだろう。同い年だしイメージしやすい。可憐の年齢にまで考慮が及んではいないと見なしうる。
ただ、このくだりにより、瀬良家の年代のズレは、かなり意図的に設定されたものと考えられる。
夫人の年齢が明らかにされていない以上、瀬良夫妻が同年代のOBであるかどうかも不明だし、子供の出生年齢のズレの謎を調整する手段はいくらでも考えられる。可憐が今の母親を実の母だと思っているなら、瀬良夫妻は「許婚」並に学生時代から親交があり、学生結婚したのかもしれないし。結婚が早まった理由として光博と世津子の関係(可憐の出産)が発覚したため、というのも考えられる。
一方で、邦彦の職場結婚のそれが正しいとしても、可憐が生みの母の元にずっと預けられていた、と考える必要はない。光博が男手で子育てするだけの甲斐性がないとしても、彼の父母など、可憐を育てる立場の人たちは大勢いる。
まあ、最初から判っていることだけれども、どこまでもグレーゾーンということで。
 
なお、瀬良光博は桜の主治医であり、また圭吾が熱を出したときに自ら診察に来ている(ついでに言えば、その診察に可憐がくっついて来ているのを許容している)ことからも、圭吾を単純に毛嫌いしているわけではないと推測される。差別問題はそう簡単な心理ではないんで、瀬良光博のような唐突に見える態度も十分に考えられるけど。

さらに追記。
圭吾、邦彦、龍馬、可憐らは、保育園〜小学校時代からの幼馴染。可憐、桜もほぼ同じ。
ということは、少なくとも邦彦は4〜6歳ぐらい、可憐は2〜4歳ぐらいから、現在とほぼ同じ状況で生活していると思われる。