天皇でちょっと面白いなと思った話

天皇がオリンピックに懸念表明という話があって。

こないだの生前退位表明を連想してる人がいたけども、ちょっと違うのではないかと思った。

まず言えることとして、オリンピックはほぼ開催される。理由はオリンピックという一度始まってしまった行政の動きを止める能力がないからだ。オリンピックという祭事は与党支持率アップにつながるし、それを狙って止める方向に動かなかったのは確かだけど、おそらく、それ以上に、この国の行政の仕組みは一度始めてしまったことをストップする方法を持ち合わせてないのが、オリンピックを開催する最大の理由だと思ってる。日本の行政が開始したことを止める仕組みとしては、解釈を捻じ曲げて別方向に持ってくか、なんとなくフェードアウトして立ち消えるぐらいしかない。オリンピックは国際行事で内容も契約でガチガチに決められてるので解釈捻じ曲げもフェードアウトもできない。

なのでオリンピックはどんな形であれ開催される。で、開催された場合、天皇は懸念を表明したのにオリンピックは天皇の意向に左右されなかったという事実が残る。割と具体的な形として天皇の権威が毀損されることになる。天皇自身の発言じゃない、宮内庁の役人が言葉を捏造した、と解釈したい人もいるんだろうけど、その場合でも宮内庁という天皇に連なる制度が毀損される。どちらにせよ、あるとされる天皇の漠然とした権威や権力が否定される結果が待ってる。

生前退位は本人の口からハッキリと言葉に出して、誰も文句言えず退位の事実が成立した。これは政治イベントを創出する行為だから成功したんだと思う。今回は逆にどうやっても天皇の敗北が決定してる。生前退位の時のように報道枠をこじ開けてまで自身の口で懸念表明はやらないだろうし、たとえそれを望んでも、報道機関側にメリットないので握りつぶされるだろうし。

元々、現行の天皇の権威が成立するのは江戸か明治の話でそこまで歴史があるわけでもないし、現代の日本では皇室なんて早朝の誰も見ない時間に動向が流れる程度でほぼ気にされない。ジャニーズかyoutuberのが影響力としてはずっと上だろう。というより、偉そうだったら誰でもいい。必要に応じてトランプ元大統領でもプーチンでもエリザベス女王でも習近平でも無条件に受け入れる日本国民相手に「玉の取り合い」は意味をなさないだろうし、今回のオリンピックを巡る表明騒動は、天皇制度がこの先グズグズっと崩れてく、というか天皇の権威なんて特に誰も気にしてないよねって了解される最初の一歩なんじゃないか。

ところで天皇って国民の象徴って言うけども実際の話として所属としては官僚機構の一員だろうから天皇の権威低下は官僚制度崩壊を意味するんじゃないかなと。