さくらむすび抜粋

「なんか、恋愛ものって多いよな。ある意味ロボってすごいチャレンジしてたのかも」
「チャレンジすればいいっていうものでもないけどね…。恋愛ものが多いのは…やっぱり受け入れられやすいからじゃない? 作るほうも見るほうも」



『桜結び』
この話はまず、一人の女子の視点で綴られる。
学園での生活、印象、そこに生じた心情を淡々と語っていく。
しかし、途中からこの様式が若干変化を帯びる。
もう一人の主役とも言える、一人の男子が姿を現すのだ。
時には女子と同じ独白で、時には女子とのかけ合いのような形式で、やはり物語自体は淡々と進行していく。
いや、物語ですらないのだろう。
単なる、独白の積み重ね。
焦点は、近いようで遠いこの二人が、それぞれ何を身、何を考え、何を感じ――そして最後に何を得たのか、という点にある。