依澄れい『ヒビキのマホウ』角川コミックスエース

原作・麻枝准。私は原作者差別主義者です。嘘。なんとなく。しばらくの間コミックス見つけらんなかった。電撃だと思ってたら違ったのね。
で、原作者差別とか言っといてなんですが、モロ麻枝准でした。『CLANNAD』はことみシナリオの途中で止まってるから、ホントしばらくぶりに。
あたしの直感する麻枝准なカンジてのは、単純に「生臭い」です。最初に読んだのがDC版『Kanon』の舞のシナリオだったからね。リアルってのとまた違ってて、多分、「生臭い」と同じ事を他の人なら「ファンタジー」と言うんだろうけど。生理の臭いっぽいやつ。魔法がマホウ、魔方陣がマホウジンてあたりが生臭さのスタートラインで。どうせこのへんは他の誰かが丁寧に解説してくれてるだろうからそっちを読んどいて。
たとえば、id:tdaidouji:20050924#p1で書いた坂本真綾の印象に近い。アニメだと電波なことでも言わせてないと深刻すぎて収まりが悪い、ドスのきいた声でさ。だってアミダラ王女の吹き替えだよ? 彼女が自分で詞を書く前の、岩里祐穂の浮世離れした詞との組み合わせが例えば樋上いたる麻枝准の組み合わせに似て聴こえる。Kanonラジオドラマで坂本真綾の演じる天野美汐は純然たるストーカーキャラだったけど、ギャグにしないと収まりが悪かったんだろうなアレ。
たとえば、『ONE』開始初日に登校途中で転校生とぶつかるとき、世間でいうところの上半身と下半身が分かれてる七瀬の絵があって、そのときに多分、画面からは見えないところで身体がポキリと折れてるんだろうな、と少し思えたりする。イメージがわかない人はロバート・ゼメキス永遠に美しく…』を参考にどうぞ。あれはあまり生臭くないけど。繋がるはずのないものが繋がっている、折れているはずのないものが折れている、てのはエロの基本に忠実だけど、するってーとエロにたどり着かないあたり本当は折れてもいないし繋がってもいないんだと思う。
たとえば、自爆テロと書いた(id:tdaidouji:20050920#p2)けど、意味も価値もそこには見出され得ないのは当り前の話とした上で、二十年、三十年を生きた上で自爆テロやっちまった奴は実際にいる。いたことは否定できない。それをわざわざ書く必要があるとも思えないが、書かないでいる必要も当然ながらない。
まあ、その程度の話。
出てくる子らが涙流してるのが痛いです。文脈に関係なく適当にぱっと開いて泣いてるのが見えると泣きたくなります。これは多分、依澄れいの仕事。