Princess Holiday 転がるりんご亭千夜一夜

画面周りはショボイがキャラ立てはオーソドックスでHシーンも安定。ストーリーはキャラクターとのHシーンのためだけにあると言っていいぐらい割り切っていて、ゲーム攻略の要素は欠片とてないという実用一辺倒の仕様。
お姫様の声がちょっとねー。古女房というか安心できるというか、要するに初々しさに欠ける。ゲームも中盤あたりで馴染んでくるとグッと魅力が増すので悪くはないのだけれど、何も知らないお姫様に悪戯しようと待ち構えている向きにはウケが悪そう。目新しい要素ではなく既視感あふれる心地よい揺りかごを用意してくれたのだろう。俺も含めて摩擦のない世界で癒されたい人が多いのだな。

違和感があったのは立ち絵とウィンドウの両方で攻略ヒロインの顔が二つ並んでしまうところ。ウィンドウで表情を、立ち絵で全身を表示している。波風立たない世界なので派手なポーズの全身像が暴れまわるのは避けたいところであるが、笑い顔と無表情の二つの表情が同時に表示されるとキャラクターの嘘くささが増す。そしてこの作品はキャラのエロしか存在しないので(「萌え」ではない)ユートピアののほほんさが実に人工的に見える。
それがシナリオと連動しているかどうかは、ちょっとわからない。オマケシナリオと呼ぶかトゥルーシナリオと呼ぶかも判別しづらい後半戦のアレは歯の生えていない赤ん坊に甘噛みされているようなもので、ふにゃふにゃの柔らかい胸に埋もれていたらほんのすこし弾力があって気持ちが良かったというような何処まで行ってもソフトな感触しかない。
あるいは双子効果(同じ顔の双子が画面に並ぶと、一対一でヒロインと対決するよりストレスがかからない。人間失格レベルまでのめりこむことはないが、遊びと割り切れる程度の関係継続には丁度いい距離感を生み出す)を狙ってのことだろうか。

 
以上、たらたら書いたようにどのキャラクターもそつなくまとめられている一方で特定のキャラクターへの思い入れが発生しづらい。娘さんが不幸じゃないって意味では歓迎すべきことですけどね。