コントロールされた奇跡をサクサク読み進めていけるレベルで組み込んでる所まで含めて「物語的処理の選択」ですよ。
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了解しました。「ネギま!」の千雨を巡る下りはそのようにできている、ということで。

むしろ、なんだっけ、読書好きの前髪長い子とかの方が割とストレートに(別の)「昔の少女漫画のお約束」を魅力として備えた少女、だと思うけど。

はいその通りです。彼女は幼い分だけファンタジーの側に足を踏み入れてるし、色恋沙汰の導入役としても「昔の少女漫画のお約束」を魅力として備えた少女、です。
ソバカスうんぬんは、お肌の話が出てたんで。
お肌のケアの話が出てきて、なおかつ自己演出と素の自分とのギャップを意識してる、て意味では最近のハイティーン向けですかね。そういう分類に意味があるとすれば。

物語が「昔の少女漫画のお約束」に従ってるわけではない、からこそ「いちいち言葉にした」ともとれる

それがだから本来ならば「萌え」て奴で。もう昔の少女漫画のお約束そのままは成立しないのはもちろんで、それをあえて持ち込んで、記号化して相対化して、背中に羽が生えてるのもネットアイドルなのも昔の少女漫画なのも同じラインに並べてしまう。
ただ『ネギま!』は、一方で、読みの階層を意図的にずらしてやってる部分もあって。いつもの面子がバトル方面や見た目方面で超スゴEハイスペック人間なのを改めて強調する以外に、千雨の「HPの写真は死ぬほど修正してる」は薫さんの言ってるようにネットアイドル方面の能力に卓越してるていう長所の主張としての意味もある。コンテストで「もえー もえー」の声援の中で「照れ」の意味が文脈に沿って読み替えられるのって、『ネギま!』の「萌え」側面を誤読に利用した叙述トリックみたいに読めてしまうのですね。あともちろん、コンテストのエピソードで区切るのとバトル観戦まで含めて区切るのとの両方に意味付けするのもあるでしょうし。
このへん読みのラインがわりかし流動的なんで、その意味では千雨が「萌え」につながらない、てのは理解できる発言ではあるんですけど。フォーマットが固定されてないと差異化が明確に見えてこなくて「萌え」には至らない。私は『ネギま!』はバトルやネギ坊主の修行まで含めて全て娘さんたちの修飾のための描写であると見なしてるのですけど、それでも残余の流動性はあって。

ゲームにはさっぱり詳しくないので憶測だけれども、メインヒロインなんて少々イビツなコトバはギャルゲ/エロゲの複数ヒロインフォーマットの普及以降こそが世間的使用頻度高まってるんじゃないかと思うけど、違うのかしらん? 「『To Heart』における本来的なヒロインはあかりだが、シナリオや人気の点でも実質的にマルチこそがメインヒロインと言える」とかみたいな用法で使うんじゃないの?

おお、と割と素に目から鱗。私の中でそういうメインヒロインの概念が抜け落ちてました。*1ゲームでは各ヒロインは均等、ゲームから別メディア(同人含む)への展開でメインヒロイン/その他ヒロインの差別化が起こる、といった発想でした。これは多分、私のほうがそちら方面の常識が抜け落ちてるかと。所詮はサブカル君なので。
 
それで、上の少々イビツなコトバが生産されてしまうギャルゲ/エロゲフォーマットからの文脈で、『ネギま!』には割と期待してんですけどね。つまり複数ヒロインフォーマットの先にどうにかして行けないかなあ、と。なので、

だから多くの人に好きになって貰いたくて、まあ、過剰に贅沢と言える高級装備を目指したのが『ネギま!』と言えるんじゃないかねえ、と思うけど。どうかなあ?

には、あまり賛成したくないですね。娘さんたち一人一人の居場所を提供してあげられるユートピアの肯定を目指した作品として扱ってあげたい。少なくともアニメ版は多少なりともそういう意図が感じられたし、あれが漫画版からさほど離れたところを目指していたとも思えない。バトルもマガジン流儀の少年成長(復讐要素含む)話も、そのための窓口と読みます。(より多くの読者に受け入れられることが娘さんたちの居場所の確保につながるわけですし)
だから、エロゲ/ギャルゲ文脈を別メディアに粗雑に取り込んだ結果として生じた「メインヒロイン」のような言葉は『ネギま!』に使いたくないなあ、という。そこまで言っちゃうと厳密には「萌え漫画」ですらないんですけどね。
このへん個人的な願望でしかないんですが、まあ、そう読まなかったら、お話としちゃあんまし面白くない。