藤子・F・不二雄ミュージアム

川崎市民の優先枠があるとゆーので、行ってきた。

面白い。

これは、ちょっと見くびってた。*1

川崎は、川崎市民ミュージアムが80年代末からマンガ専門の学芸員枠があったりして、マンガ関連の展示についてはそれなりに蓄積がある。藤子ミュージアムの近所にある岡本太郎美術館に行けば岡本太郎の父親で明治期の漫画家である岡本一平の作品が展示されてたりする(市民ミュージアムのコレクションの根幹は江戸・明治から昭和初期の漫画資料)。

なので、藤子・F・不二雄ミュージアムも、そうした川崎市でのマンガ展示の系譜に位置づけられる、と思う。

実際、以下の書籍では、市民ミュージアム学芸員である金澤韻氏自身が1章を請け負ってマンガ展示についての試行錯誤を記しているのだが、藤子・F・不二雄ミュージアムのプレイベントとして企画された「みんなのドラえもん展」(2007)の企画趣旨やテーマ、実際の展示方法や来場者の反応について詳しく書いてある。とくに「大人と子どものどちらを主たる観客に想定するか」という話題は、藤子・F・不二雄ミュージアムの展示方法に深く繋がっている気がする。(ちなみに巻末には某橋本知事に潰された大阪国際児童文学館の紹介もある)

サブカルチャーと公共との対話についてアクロバットなロジックで飛ばして誤魔化すのではなく真摯に向き合ってきた人たちの足跡が示されてる、と感じた。日本各地にあるマンガ作家記念施設やマンガ収蔵施設について興味がわいてきたのだが、そうなってくると今年の正月に石巻を通過したとき石ノ森萬画館のすぐ近くに行きながら立ち寄り損ねたことが、かえすがえすも残念。

*1:ただし、館内スタッフの手際の悪さがかなり気になったのは確かで、来場制限をしているにもかかわらず、来場者に対する館内設備の説明の拙さや客の動線誘導の不十分さが目立ったのについては、もうすこし改善されればと思う