車を買った話

諸般の事情により、業務用じゃないような車を購入。
以下、購入決定に至るまでの試行錯誤というか優柔不断の経緯の備忘録。
 
購入にあたっての諸条件。
 
1、今までの乗車歴
主にミニバンクラス。ていうかステップワゴンとかキャラバンとかハイエースとかライトエースとかエルフとか、車高の高い車が基本で、セダンや軽はレンタカーで乗る程度。
 
2、先々の利用予定
主に自分一人の足、ときどき家族同乗、さらにときどき父も運転、荷物は「そこそこ」載ればいいか、程度。都心で起居する予定のため利用頻度は多くて週1、2回程度。今までで年間1万km程度。
 
3、運転スキル
基本的に下手。というか運転に集中できないタイプ。なんもなくても余計なことを妄想したりする。ちょっと距離を走る最中は無駄なゲーム論とか脳内展開する。
 
4、自動車に対する愛好度
皆無。走ればオッケー。荷物積めればオッケイ。エンジン談義とか意味不明。
 
で、購入に至るまでの行動。
 
 どういう方向か、全く決まっていなかった。というより、車種についての知識は皆無に近かった。
方向性はこれから考えよう、という態度でまず近所のトヨタ系の中古車がズラッと並んでるとこに行ってみた。そこで得た感想
「コンパクトカーってこんなオサレなんだ。えーなーコンパクト。駐車も楽そうだし、この助手席側がバカッと大開きになるポルテとか可愛いなあ」
 
 つぎに正規代理店を片っ端から巡る。トヨタトヨタカローラトヨペット、日産、ホンダ、マツダ、三菱、スバル、等々。そこで得た諸々はあるが、大ざっぱに言うと
「店ごと、というか営業ごとにけっこう薦めてくる傾向って違うもんなんだなあ。自分の云った条件のうちの、どこに着目して話を展開してくるかの差がすごい大きい」まあつまり、こっちの「決めてなさ」に、各営業が振り回されてるのだと思った。
 そんな中で、マツダの営業さんは、こちらの「決めてなさ」に対し「全部が満足いく買い物は出来ません。車に何を求めているか優先順位を考えていただかないと」と、ものごっつう正論で車の講釈をしてくれた。後から思うに「荷物がたくさんつめればいいや」「値段が安ければいいや」ぐらいのライトユーザー相手ではマツダ車の魅力を感じてもらえない、ということなんだろうが、好感度が高い人だった。

 とりあえず、なんとなくカタログを10冊以上もかき集め、プリウスとか2、3台ほど試乗もしてみて、そっからネット検索。
 価格コムのレビューとかメーカーサイトとか記事とか色々。
このへんで「マツダなんかあちこちで持ち上げてて良さげやなあ、営業さんも感じよかったし」という感じに傾く。
 
次に、自分の身の回りの人たちから話を聞く。
身内「トヨタは絶対だめだ、許さない、乗らない」
…いきなりハードルが上がる。理由は昔、下取り価格で買い叩かれたかららしい。
社内「トヨタがやっぱり壊れないし最高ですよ」「いっそベンツ行きましょうベンツ」
…おう。
身内2「レザーシートがいい」
…価格がこんぐらい高くなりますが「そんな高いのならやめる」
身内3「3列シートの最後部を占有して寝ていたい」
…勘弁して。
 
 なるほどと思ったのが「軽やコンパクトは事故の時に怖いから、ランドクルーザーみたいなタイプが一番いいですよ」とゆー安全面についての指摘。そういやカタログに安全機能について色々と書いてあったなあ、と、当初は全く考えてなかった方向性の示唆を得る。自分は基本的に運転が上手いとは言い難いのだから、安全面は機械まかせというのは、方向性としてかなり有効な考え方ではないか?(この時点で中古車を物色する方向性が閉ざされる)
 
 で、自動ブレーキとかで調べる。トヨタがそっち方面の機能をあんまし充実させてなくて、選択肢が狭まってきた。かっ飛ばす気はないからセダンやスポーツは除外、コンパクトカーも安全面を指摘されると順位はやや下げ、ということで、日本人の王道ワゴンタイプあるいはミニバン、昨今流行のSUV、あたりで考えだす。このあたりから、アイサイト搭載車のスバルが順位上げ。(ちなみに安全性能重視の観点から外車も少し覗いてみたが、同ランクで100万円から違うという事実を改めて確認しサヨナラ)
 
 ワゴン。カローラを探すがカローラカローラ店にすら並べてない、というオチ。また、なんせリーズナブルなので、安全装備はあんましない。
 スバルレヴォーグ試乗。あんましピンとこない。つうか見た目がカッコよくない気がする。ていうかターボに対する偏見が俺の中でわだかまっている。ボンネットのターボの吸気口がどうしても好きになれない自分を知る。
 
 で、そこそこサイズの小型SUVだったら行けるんじゃね? SUVを軸に、その前後あたりで、という暫定の結論を出す。
トヨタハリアー。価格を見て「高い」。内装のゴテゴテ感が気に食わない。想定より大きいし身内の反対を押し切るほどでもない。ごめん除外。RAV4。良さげに見えたが基本アメリカ向けということで車幅がわりと大きい。基本的に販売店に置いてないので試乗もできない。保留。
・日産エクストレイル他。ネットで日産(というかゴーン)の悪口を目にしてるせいか、あんまし良さげに見えない。ジュークはパッと見で良さげに見えたが、後部が超絶に狭そうだったので断念。
・三菱アウトランダーPHEV、試乗し「面白い」と思ったが「リコールばっかりでヤバいっすよ」と諭され除外。
・ホンダヴェゼル。ハイブリッドの燃費良さげでサイズも手頃、かなり魅力的に見えたが、やはり「リコールが多くてヤバいっすよ」と諭され除外。
 
 ……スバルXVハイブリッド、これ行けるんじゃね?
つーことで、オリックスレンタカーで予約し、遠出。これで身内の評価がソコソコ良ければ決まり……!
助手席の身内「ヘッドレストが邪魔。休めない。いらない。外す。外せないなら金ノコで切る」
えー。
……除外。
 
ここで割と振り出しに戻った感があり、しばらく途方に暮れている。
で。
悩んだあげく出した結論
「もうSUVって決めたんだからSUVで行く」(思考放棄)
まあ、そんなもんですよね。
さすがに不評だったXVに決めるのもアレだったので、一回り大きいランクでスバルフォレスターマツダCX5の二択に。基本的にはアイサイトのついてるスバル車が優先順位が高い。
んでそれぞれ試乗したところ、これが思いのほか悩ましい結果に。
 
 つまりCX5のディーゼルが良かった。すごい良かった。予約制で1日試乗したのだが、アクセル踏んで走りブレーキ踏んで止まる。思いのまま感がホントに感じられた。キャッチコピーの人馬一体ってコレか、という納得感があった。自分の身体が拡張してるような感覚だった。自分が運転の上手い人のようですらあった。感動体験と呼んで差支えないと思った。なるほど「たかだかクルマに高い金を出して買う」ってのはコレを求めてるのか、ていう納得感があった。
 …しかし待て、と。この勢いで決めちゃいそうであったが、結果的に思いとどまった。最後のほうは「CX5にしない言いわけ探し」にすら陥っていた。まあフォレスターと比較した場合、色々ある。アイサイトみたいな機能はない、荷室は狭い、背後視界は狭い、車幅はデカい、今のタイミングでマツダ車って流行に流されすぎじゃないか、等々。この運転感覚は麻薬すぎる、俺だと調子に乗って飛ばしすぎたりするんじゃないか、とすら考えた。
しかし魅力的なのは間違いない。なんせアイサイトとか搭載すると運転席の目の前に並ぶ操作スイッチは膨大で鬱陶しい。しかるにCX5はシンプルだった。教習所で習った以上の操作は必要ない。シンプルイズ美しい、である。
 が、なんつうかCX5ではいかん、フォレスターにしよう、フォレスターいいじゃないか実に細かいところが日本向けで、という自制が働いた。
 
 で。フォレスターにした。
 なんかフォレスターに不満があるような書きかたですが、そんなことはないです。ただ、なんていうんですか。
CX5が「いっちゃえ、やっちゃえ」って誘惑が強すぎて、そゆのに対し強い警戒感が働いちゃったんですよね。「これ勢いで買っちゃったらヤバいんじゃないか。美人局的な意味で(意味不明)」て。

……なんかマツダ持ち上げ記事っぽいなあ。いや他意はないつもりなんだけど。

 フォレスターにした積極的な理由もあるんですよ。まず安全性能が高評価。アイサイトついてる。荷物も積める。車体のサイズがわりと手ごろでミニバンよりやや短い。視界も広い。それに、ここんとこ首都圏の大雪で苦労したこともあり、身内は割と山奥の温泉とか行きたがる傾向もあり、4輪駆動はけして飾りじゃなく欲しい機能。総トータルでバランスいいと思えたわけです。日本人だからね、突出しないほうに流れちゃうのは仕方ないよね。

 その他、面白かったこと。
 ネットではマツダ高評価なんだけど、周囲にきくとみんな「マツダはしょせんマツダですよ」て返事だったこと。あと知り合いの自動車屋に聞くと、マツダの最近の独自技術は手出ししにくいので正規代理店に任せるしかなく、あんましお勧めしたくない、と言われたこと。なるほどなあ、という感慨。雑誌を立ち読みしたり色々と経巡り、欧州車界隈のいろんな話を知ったのも面白かった。TPPのアメリカは強引だけど、EUは狡いんだなあ、とかそんなん。