山本七平「日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条」(角川oneテーマ21新書)

紹介されたのでざっと。
細かい事実については知らんが、著者が説教したい部分の要旨大意としては頷くところ多々。
仮想敵を日本陸軍にしてるので陸軍の体質叩きになってるのだが、官僚体質批判と言って差し支えないと思う。僕の理解としては、最近よく隣の韓国の人の気質として見栄っ張りとか事大主義とかいう言い方をしてあざ笑うのを見かけるのだが、大体、それと同じことを日本人に対して言っている、という感じ。
明治に文明開化したはいいけど金がない、資源がない、国力が追いつかないけど無理でも成長しないといけないと思い込み、そこで背伸びして頑張った人たちがいたけど、頑張り続けないとヤバイ自転車操業、常に万馬券に張り続ける一攫千金ギャンブル体質になってしまい、有り金をどんどん突っ込んで大負けしましたベンチャー国家。そっから「無一文になっちまったもんは仕方ない、一からやりなおしだ」などと言えばカッコよく聞こえるが、要するにまたぞろベンチャー国策に走ってたどり着いたのが現状と。
まあ、そうだよな、とは思う。
ただし、精兵主義のくせに精兵がいない、という部分については、頷くと同時に著者への不満もある。
金も資源もないから個人の努力と根性とハイスキルで補う結論に達し、それで精兵主義がまかり通って全員が完璧な名人芸の達人じゃないと回らない組織を作り上げてしまったものの、そんな名人芸の達人ばかり補充できるわけもなく、結果として足りないところが各所に出て、現場で「そりゃしょうがないよ」と足りないのが当たり前という運営方式に至り、足りないところを所々に残ってる至芸の名人が上手いことフォローしちゃって、さらに名人芸頼りの運営体質へとエスカレートし、帳簿上の数字と現場の数字が合わないことを当たり前とみなす「員数主義」がまかりとおるようになり、いざ名人がいなくなったとき制度の矛盾が一気に噴き出して崩壊する。大体そんな流れは僕にもよく判る。最初から「員数主義がアジアの文化」ってわけでもあるまい。
けども、その「精兵主義」を批判する著者が「日本人民はこれから民主主義国家の一員として完璧な精鋭でなければならぬ」というふうに説教してるように見えて、もにょるのな。これは全般に民主主義を嘆くとかネトウヨを嘆くとかロートルサヨクを嘆くとか、なんでも同じことではあるし、俺も勘弁してくれと思うし、そう愚痴るツイートも吐くけど、正しい知識を全員が揃えておかねばならぬ、とか、偏った思い込みの人間が多いのは困りものである、とか、言い出したらきりがないというか、無制限に「完璧な民主主義の体現者」たる精兵を求めてるように見えるので、やっぱ嫌なんだよな。そんなふうに「根拠もなく反原発を語る連中、思いつきで反中を煽る現実を見てないバカどもは黙ってろ」っていう精兵主義者の行きつく先はやっぱ員数主義なんじゃないの、としか思えないし。間違った知識で反原発を語るワカモノと、頭のおかしい理屈で民間医療に邁進する主婦と、南京虐殺を声高らかに歌うサヨと、全員いて、てきとうに統合してった落としどころが現実的でありさえすればいい、という話になんでならんのかな、というね。
まあさ。俺は「KanonAIRなんぞ生み出して悦に入ってるエロゲ業界とエロゲマとエロゲ論者どもを全員滅ぼしてやる」と最初から思って、その目的に従ってエロゲ語ってる連中の中に踏み込んでいって、そいう目的のもとにネット上の発言を繰り返していたわけで、俺が精兵主義的な発言をしてるときは、大体「全人類滅びろ。エロゲ滅びろ」という念を送り込みながら書いてたわけですよ。だから自分のネット発話はそーなるよなー、という振り返りのもとに、他の人たちも人類滅亡を祈って言葉を綴ってるのかもしれないと想像もするんだけど、どうなんでしょうね。