実写映画の「るろうに剣心」

判ってるとは思いますがシナリオが破綻してて台詞回しも気の利いてないそれでもなお良いとこさがしするのが邦画エンタメですのでその前提で。

今回、るろ剣の実写化が気になったというのは、僕が元々、るろ剣を時代劇ともチャンバラ物とも思ってないし、もちろん伝奇物でもなければ歴史モノにも入るわけがないと思ってるからです。てゆか作者自身が単行本で「バーチャル明治」という評を気に入って紹介してたのを見て頷いてたんですが、ジャンルとしてはビデオゲームの影響が及んだ結果としての「和風ファンタジーの延長上にある何か」だろうと。

なので、時代劇とファンタジーのどちらを軸に映像化するつもりなのかが気になってたわけですが。結論としては、なんか、どっちに行きたいんだろう、みたいな。
剣心がそれなりにかっこよく立ち回ってた、というのは一応賛成しときます。が、アクションの文法がなんかいろいろチャンポンで、よくわかんない。
たとえば重さ重視なのか軽さ重視なのか問題とゆーのがあります。参考http://homepage1.nifty.com/~yu/diary/200107b.html#13とかhttp://d.hatena.ne.jp/ityou/20040315とか。怪獣映画やロボアニメのように重量感がありますかーてのと、京劇風味に重力無視のアクション決めるのと、どっちがやりたいの? ていう。なんか重力無視ジャンプが頻発するんで軽さ重視なのかナーと思うんだけど、一方で柔道っぽかったり剣の鞘で攻撃して骨を折ったり、あと斬られてダメージ食らったやつが、やたら坂道や階段や橋の上から重そうに落下したりとか、そゆのは重心や重さの概念が必要でしょう、とゆーのが混ざってて、どっちつかずな気がする。

いや剣心はすげーなよく動くなと思うんだけども。たとえば左之介の斬馬刀が全然反動なさげでさ、ハリポテ並みに軽そうに見えちゃったりするとね、血糊や土埃感で泥臭く重たげに見えなきゃいけないはずの雰囲気が一気に軽くなっちゃったりしますでしょ。

なんかねー。高速バトルと汚れ風味の世界観とが噛み合ってない気がするのね。たぶん、どっちも「時代劇否定(様式美で観客によくわかるチャンバラ・様式美で汚れてない和服)」なのかなと思うんだけど、方向性が別じゃないかなとか。まあ元々が原作の出来自体もいいとはけして言えないんだけども、それをさらにダイジェストっぽく変なくっつけ方をしちゃってるし、もうちょっと何か方向性を絞り込んで作っても罰は当たらない気がする。